第2回のポイント
  • 売上が増えるほど、仕入れや人件費などの先行支出も増える
  • 売掛金と在庫の増加は、手元資金を圧迫する
  • 成長に必要な運転資金は、売上拡大前に見積もる

売上の増加は会社にとって望ましいことです。しかし、受注が増えたことをきっかけに、かえって資金繰りが苦しくなる場合があります。

3回連載の第2回では、成長期に資金不足が起こる仕組みを取り上げます。

売上より先に支払いが増える

受注が増えると、商品や材料の仕入れ、外注、人員の確保、広告、配送などに必要な支出も増えます。

これらの支払いが売上代金の入金より先に発生する場合、会社はその時間差を自らの資金でつながなければなりません。この事業を回すために必要な資金が運転資金です。

売上が増加していても、回収までの期間が長ければ売掛金が積み上がります。受注に備えて在庫を増やせば、さらに現金が在庫へ置き換わります。

つまり、成長期には「売上が増えた分だけ現金も増える」とは限りません。むしろ、売上拡大の途中で必要資金が先に膨らむことがあります。

取引条件の小さな違いが積み重なる

資金繰りは、利益率だけでなく入金と支払いの条件にも左右されます。

  • 売上代金はいつ入金されるか
  • 仕入代金や外注費はいつ支払うか
  • 前受金や着手金を受け取れるか
  • 在庫を仕入れてから販売するまで何日かかるか
  • 販売後、代金を回収するまで何日かかるか

入金までの期間が長く、支払いまでの期間が短い取引が増えると、1件ごとの利益が確保できていても資金負担は重くなります。

新しい取引を受ける際は、売上高や利益額だけでなく、「いつ支払い、いつ回収できるか」まで確認することが大切です。

固定費を先に増やすと、計画未達の影響が大きくなる

売上拡大を見込んで採用、出店、設備導入などを先行すると、家賃、人件費、リース料、システム利用料などの固定的な支出が増えます。

計画どおりに売上が増えれば問題はありません。しかし、立ち上がりが遅れたり、想定より受注が少なかったりすると、入金が増える前から固定費だけが発生します。

新規事業や出店では、損益が黒字になる時期だけでなく、それまでの赤字と資金減少をどこまで耐えられるかを確認する必要があります。

売上拡大前に運転資金を見積もる

成長に伴う資金不足を防ぐには、受注後ではなく、売上を増やす前に資金需要を見積もります。

確認する項目は次のとおりです。

  1. 売上増加に伴って増える仕入れ・外注費
  2. 売掛金を回収するまでの期間
  3. 必要となる在庫の金額と保有期間
  4. 採用・設備・広告などの先行支出
  5. 借入金返済、税金、賞与など既存の支払い
  6. 計画未達の場合にも必要となる予備資金

必要資金が見えれば、取引条件の見直し、前受金の設定、在庫の圧縮、投資時期の調整、早めの資金調達など、選べる対策が増えます。

【連載1/3】利益と現金は別物を読む
【連載3/3】把握の遅れが資金不足を招くを読む

次回は、資金不足そのものではなく、数字の把握と対応が遅れることで資金繰り難が深刻になる理由を解説します。

成長計画に必要な運転資金を整理したい方は、お問い合わせフォームよりご相談ください。