第1回のポイント
  • 資金繰り表は、利益ではなく現金・預金の動きを予測する表
  • 売上や経費が発生した月ではなく、実際に入出金する月へ記入する
  • 最初から完璧を目指さず、まず3か月、その後6か月先まで作る

前回の連載「資金繰り難に陥る理由」では、利益と現金の違い、売上増加に伴う先行資金、将来の資金不足を早く把握する必要性を取り上げました。

今回からは、その続編として資金繰り表の作り方を3回に分けて解説します。第1回は、独自に作成した入門版フォームを使い、表の基本的な仕組みと最初に入れる数字を確認します。

資金繰り表(入門版・Excel形式)をダウンロードする

資金繰り表は「将来の預金残高」を見るための表

資金繰り表は、月初の現金・預金残高に、その月の入金と支払いを加減し、月末にいくら残るかを予測する表です。

損益計算書とは役割が異なります。売上をあげても、取引先からの入金が翌月末であれば、その月の現金は増えません。設備を購入した場合も、減価償却費ではなく、実際にその月に支払う金額を税込で記入します。

したがって、資金繰り表では「いつ売ったか」「いつ費用が発生したか」よりも、いつ口座に入り、いつ口座から出るかを確認します。

最初に3つの数字を決める

ダウンロードしたフォームでは、最初に次の3項目を入力します。黄色のセルが入力欄、水色のセルが自動計算欄です。金額は千円単位です。消費税の対象となる取引は、原則として、実際に入金または支払いが行われる税込金額を入力します。

1.開始月

資金繰りを確認したい最初の月を入力します。開始月を変えると、その後の5か月も自動的に表示されます。

2.月初現預金残高

開始月の初日時点における現金と預金の合計です。複数の金融機関に口座がある場合は、事業で使う口座の残高を合計します。

借入金の利用可能枠や、まだ入金されていない売掛金は残高に含めません。通帳やインターネットバンキングで確認できる実際の残高から始めます。

3.最低必要資金

給与、仕入、家賃、借入金返済などを遅らせずに支払うため、手元に確保しておきたい金額です。必要額は、支払条件や固定費、売上の変動によって会社ごとに異なります。

一律に「月商の何か月分」と決めるのではなく、少なくとも翌月の確定支払いと、入金が遅れた場合の余裕を確認して設定します。フォームでは、月末残高がこの金額を下回る月を「要確認」と表示します。

入金は「回収予定月」に記入する

入金欄は、次の4項目です。

  • 現金売上
  • 売掛金回収
  • 前受金・着手金
  • その他入金

たとえば10月に100万円(税抜)を売り上げ、回収が11月末なら、10月ではなく11月の「売掛金回収」に税込の1,100と入力します。請求書の一覧や得意先ごとの締日・支払条件を確認し、実際の回収予定月に置くことが大切です。

振込手数料や源泉徴収税などが差し引かれる場合は、通帳の動きと一致するよう、実際の入金額を基準にします。差し引かれた金額を別途支出として管理する場合は、入金額との二重計上に注意してください。

支払いは「口座から出る月」に記入する

事業支出には、仕入代金、外注費、給与・役員報酬、社会保険料、家賃・水道光熱費、税金・賞与、その他経費を記入します。

毎月ほぼ一定の支払いは、直近の実績を参考にします。仕入代金、外注費、家賃、水道光熱費、設備代金など、消費税の対象となる支払いは税込金額を入力します。税金、賞与、年払いの保険料など、毎月は発生しない支出は、支払時期と金額を確認し、実際に資金が出ていく月に記入します。

消費税の納付予定額は、納付月の「税金・賞与」に入力します。中間納付がある場合は各納付月に分け、還付を見込む場合は、実際の入金予定月の「その他入金」に記入します。売上や仕入の税込金額とは別に、消費税の納付・還付も実際に資金が動く月へ反映します。

設備投資、借入金の入金、借入金の元金返済は「投資・財務」に分けています。借入金の元金返済は経費ではありませんが、現金は減るため資金繰り表には必要です。支払利息は「その他経費」に含めます。

月末残高が翌月の月初残高になる

フォームでは、次の順で自動計算します。

  1. 入金合計から支払合計を差し引く
  2. 設備投資、借入金入金、借入金元金返済を反映する
  3. 当月収支を月初残高に加えて月末残高を計算する
  4. その月末残高を翌月の月初残高へ引き継ぐ

このつながりが見えると、「今月は払えるが、その結果、翌月の給与支払いが厳しくなる」といった問題を事前に確認できます。

まず3か月、次に6か月へ広げる

初めて作る場合、6か月分を一度に正確に埋める必要はありません。まずは請求済みの売掛金、支払日が決まっている仕入・経費、給与、返済など、確度の高い数字で3か月分を作ります。

その後、受注見込みや前年実績も使って6か月先まで広げます。予定額は後から変わって構いません。作成時点の根拠をメモ欄に残し、実績が分かったら更新することが、資金繰り管理の基本です。

次回は、まだ確定していない将来の入金と支払いを、どのように見積もって予定欄へ入れるかを解説します。

「資金繰り難に陥る理由」第3回を読む

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